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お部屋で呑みましょう。 

こんばんは。金曜日ですねー!今週もお疲れ様でした☆
今回は頂き物SSを掲載させて頂きます。
黒木kurage様から頂きました。
私が教官ズの部屋飲み大好きな事をご斟酌下さったとのことでvとっても素敵な作品です。
男子寮パート推しな皆様に是非読んで頂きたいです><//
kurage様は堂上さん推しとのことで、作品からも堂上さんへの深い愛情と理解が伝わってまいりますv
何と5年ぶりにがっつりご執筆くださったとか!(ブランクを感じないクオリティ、素敵です!!)
途中の絵は私です。こちらのシーン、大好きですーー///

教官が退院して、数か月経った頃の時期です。
「続きを読む」からどうぞ♪


********************************

当麻事件から数カ月。丁寧なリハビリが功を奏し、怪我の影響で足がどうの、といったこともほとんどない。あえて言うなら勘の戻りについて注文をつけたいね、と小牧が切り出した。

堂上の対面に座る手塚が缶ビールを机に置き、改めて小牧の顔を見遣る。外見と当りはソフトなくせに、辛辣な物言いをする上官。だが問われもしない事に口火を切ったりしない、それが常態。つまりこれは冗談口でも戯言でも、聞き流していい話でもない。
「気付きませんでした。状況について、俺も確認したいのですが」
認識の違いは命取りになる、と真剣な手塚に、「堂上が復帰してこっち、狙撃班と組むって作戦、今んとこないでしょ。気付かなくて不思議はないよ」と笑う。笑みが出るということは、まだ余地があるのだろう。
「だがお前が言い出すんだ。手塚の言う“命取り”のレベルか」
「一瞬の違和感って程度。微調整は小まめにやっときたいって、俺の都合でもあるから」
そうか、と応えてビールを呷った堂上だが、空にした缶をそのまま左手の中で潰した後、次の缶に手を伸ばすでもない。胡坐の膝に両肘を預け、心持身体を小牧に向ける。続きを促された小牧自身は壁に背を凭れかけた怠惰な姿勢のまま、わずかに首を傾げた。
「手塚もね、小田原や茨城って大きな抗争知ってるから、経験したんじゃないかと思う。シビアな設定にしたところで、訓練でコレが来るってないんだよね」
「臨場でしか“来ない”んだから、なおさらシャレにならんのだろうが」
「ま、そうなんだけど」
小牧と堂上の間では繰り返し話題に上っているのだろう。暗黙のうちに省略された目的語だが、すでに数回の臨場を経験した手塚にも、思い当たるものがある。
「神経がむき出しになるというか…自分自身が神経そのものになってる感覚、のことですか」
耳元を掠める銃弾の乾いた音。広角に切り替わる戦闘員としての視界。隅々をサーチする五感という名の鋭利な刃物。脳髄を通ることなく反応する、“自分”。
厳しい訓練を積み重ねることで身に培う、反射。勘。それは「無事に生き残るため」に理詰で構築されるセオリーを、無意識の域に刻み持つに等しい。まずは個人レベルで。そしてより少ない犠牲でより大きな成功を収めるべく、集団のレベルで。戦闘の最中、いちいち思考を走らせてなどいられない。図書隊という身体の、脊髄反射。

イカソーメンの封を切って手渡しながら問えば、問われた上官は「聡い子は好きだよ」と笑み、部下は平坦に「ありがとうございます」と返す。最近やっと、小牧の戯れをサラリと躱せるようになった。
「例えば今の手塚だってそうでしょ」
「は?」
「具体的に注文つける前に、イカソーメン。俺がコレ好きなの知ってても、今そのことを頭の中で文章にして考えたわけじゃない。でも手塚にはわかるし、的確に動ける」
戦闘とイカソーメンを並べるな、と堂上は苦笑している。
「俺と小牧は組んで長いしな。調整は少なからずしてきている」
「以心伝心をアテにするほど無邪気でいられないからね。今でこそ相手の癖だの身体的特性だの、いちいち理屈に起こさなくても掴めるけど。それなりに時間も労力もかけてる」
「惜しむ手間じゃないからな」
次の缶ビールに手を伸ばしながらテーブルに片肘をつき、小牧は堂上と視線を合わせた。
「タイミングのズレは、半拍。負傷前に比べて早い。若干スピードも速いね」
「そうか」
薄く笑うその表情に、指摘されたとおり自覚があったと匂わせる。
「ダブルスタンダードは構わないけど、コントロールしてくれなきゃ。それが難しいんなら、戻して」
戦闘は局面では個のものだが、総論として個人戦ではない。ダブルスタンダード?と声に出して考え込んだ手塚に、小牧が苦笑する。堂上は苦虫をかみつぶしたかのように、小牧の視線から逃げた。
「すまん」
「俺が合わせることも考えられなくはないよね。実際その時々になんとかしちゃってるんだし。ただ認識の一致は、あるいに越したことは無いから」
「ああ。俺の勝手でお前たちに怪我をさせるわけにはいかん」
戦闘を共に駆け抜ける仲間、それも同班の仲間として、認識の一致は望ましい。いや、必然だ。副班長は、堂上が言い淀む「照れ」という個人的事情をまるめて横に置いた。
「手塚はダブルスタンダードってとこに引っかかってるみたいだけど。この話、 “戻せ”ってとこがキモなんだ。ま、要するに堂上のリミッターが甘くなっちゃってるんだよね。自分が楽な方に」
「楽、という表現に疑義を挟むぞ、俺は」
耳を赤くしながらの抗弁も、軽くいなされる。
「あー、はいはい。易いんだろうね、班長?」
「…うるさい」
情報は開示すべきだよ、という小牧の言に、反論のしようはない。だがトリガーが何かを考えるだに、赤面致し方ない。クエスチョンマークがますます大きくなった部下に、副班長が丁寧な解説をする間、そっぽを向いたままではあったが口を挟みはしなかった。

タイミングが、つまり堂上自身のリズムが戻ってしまう瞬間がある。以前の、入隊したばかりのそれに。若く血気盛んだった、封印したはずのそれに。
反応の間合いは、本来身体が有する、最も自然に動けるタイミングでもある。それを理屈や訓練で調整し、他者とのすり合わせを行う。そんな「戦闘における効率的な動き」だの「訓練を積み重ねて得た軍人としての勘」だのを吹っ飛ばして、「自身」という本能だけで動ける爽快感、それでありながらバディと僅かの齟齬もない一体感。あの雨の数時間、堂上の身体は「笠原と組む」ことがいかに「合う」かを知った。

「相性が良すぎるって話なんだよね、結局。堂上と笠原さんは、本来の性質的にも身体的センスやリズムって点でも、“合う”みたいだね。だから組めば、脳髄を通さずに、身体が最も欲してる動きを取ることが可能になる」
「…かなり自由に動ける、って感じでしょうか」
想像するしかありませんけど、と部下は口の中でもそもそと言葉を継いだ。尊敬する上官が大事な仕事の話で言い淀む理由、それがこともあろうか恋愛沙汰が絡むと流石に気付いたらしい。
「無鉄砲な感覚派。って、手塚にとって誰を評した言葉?」
「笠原です。ほとんど動物的だと思います」
部下の即答に、だよね、と笑う小牧に、堂上がますますそっぽを向く。即答したものの、小牧の答えを知る手塚が、すいません、と足した。
「いいんだよ、だって手塚は以前の堂上を知らないんだから。前にも言ったけど、この堂上評は俺だけのものじゃない。矯正しちゃったとこ、ある意味すごいよ、大変な意志の強さだ。でも本質的な部分では変わってない。堂上が本来どんなヤツか、玄田隊長と絡んでるとこ見ると窺えるんじゃない? そこに笠原さんっていう起爆剤が揃ったってわけ」
「ものすごく相性のいい起爆剤…ですか」
「笠原さんは本来の意味での感覚派でしょ。フライングと紙一重で、結果的に彼女はフラッグシップになることが多い。ただその思考の跡をトレースするのって、かなり難しい。なんたって感覚派だからね、悪い意味も良い意味もなく、思考は後付けなんだろうね」
「笠原自身は、考える前に身体が動く、と言ってました」
「その笠原さんの航跡をトレースできちゃうんだから、堂上も大概な感覚派だよ。それもトレースしようなんて意識なく、やれちゃってるだろ?」
「…褒めてないな」
「うん、褒めてはいない」
そこが問題だ、って話だからね。そう言って小牧はにっこりと笑った。

*********************


極限の場面で、反射のレベルで身体が選ぶもの。あの雨の中。行く先を遮る諸々に、視界も思考も行き詰っていた。それなのに、身体が向いた瞬間、その方向が開ける。思考の外に走る反応が、躓くことなく展開した。僅かのタイムラグもなく入っていくスイッチ。一度開いた回線は、そこにあることを身体が忘れてくれない。
「本来の自分自身で動ける勝手の良さ。個人戦ならともかく、ね」
「ああ。調整する」
「そうして」
自覚があった分、これだけの会話で了となる。堂上は手塚にも「すまんな」と呟き、小牧が言葉を続けた。
「言わなくてもわかってるだろ、って過信は、怪我のもとだから。手塚についても言語化しておこうと思う」
「俺、ですか」
本当なら手塚と組んでる笠原さんにも、と言いたいところなんだけど、と今度は小牧が苦笑している。缶ビールのプルトップを引きながら、堂上が口を挟んだ。
「アレは制約を意識させると、必要以上に萎縮する」
「微調整は利かないタイプだね。All or nothing、スイッチはONかOFF。つまり手塚が了解のうえで、彼女の特性を巧く使えばいいってこと。あー、堂上にはゴメンね、こんな言い方」
「なんだ」
怪訝そうな顔に、小牧はくすくすと上戸が入りかけている。
「やー、ひとの彼女掴まえて、使うとか何とか言っちゃってるから」
ここで冷やかしか!と憮然となった堂上だが、話題の混在に戸惑っているのは手塚だ。その部下の手前、取り繕いを試みてはみるが、小牧の上戸は余計な刺激をすると却って止まらなくなる。
「…今は隊員として動く場面での話だろうが」
「公私混同はしない、って? まあそれも正論なんだけど」
そもそも堂上と組んでいるのは小牧であり、笠原との組みは手塚だ。なのに引っ張られてちゃ世話ないよね、と再び注文が入ったところでキックオフ。隙を突くような動きで投げつけられた枕を、小牧は軽い動作で躱す。
「もうさー、笑えるったらないよね。よっぽど笠原さんのほうが公私分けてるんじゃない?」
返す枕は堂上に引っ掴まれて、そのまま投げ返される。
「貴様っ」
「堂上って直情型だったなあ、って。懐かしいやら微笑ましいやらでさー」
本格的に上戸突入か、応戦する小牧の肩が震えている。
「どうせ俺は隠し事が苦手だっ」
「うん、俺達から見ればバレバレだった。あんなにわかりやすいのに、笠原さん本人だけが王子様に気付かないってのもねー」
「え?」
亀の子よろしく首をすくめて巻き込まれるのを避けていた手塚の、上げた顔に小牧が投げ返した枕がヒットした。
「あ、ごめん。手塚? なんかひっかかるとこあった?」
大真面目に仕事の話をしている流れの中で、子どものようなじゃれ合いをいきなり始める上官たちにもいい加減慣れ、処し方も身についているはずの手塚だが。身を乗り出すような姿勢になってしまっている。
「王子様って、笠原のあの王子話の、ですか?」
「…うん。もしかして手塚も気付いてなかったの?」
「堂上二正が、ですか!」
唖然と「堂上二正が王子様…」と呟く手塚に、ふたりの上官は顔を見合わせる。
「手塚と笠原さんって、ある意味大した組合せだよね」
「…だな」
「さすが玄田隊長、この人選は炯眼だなあ…って感心するとこ?」
「いや。ただの偶然だ」
ここで断言するところが大人げなさ炸裂の、“昔の堂上”だ。そんな上官二人のやり取りなど聞こえていなかった手塚が叫んだ。
「堂上二正が王子様なんですか!」
「その言い方やめろ!」
彼なりに衝撃を受けたのか、「王子様」を繰り返す手塚に、赤面した堂上が拳骨を繰り出し、小牧が再び上戸に突入した。

kurokisan


具合がいいからと引っ張られないこと。微調整の利かないバディの手綱を引くことを覚えること。小牧から指導の入った上官と部下は、違う意味ながら互いに赤面したまま、次の缶ビールに同時に手を伸ばした。
「そうですか…堂上二正が…」
「手塚っ」
「堂上、それ八つ当たりだから」
「小牧、貴様もだ、俺に公私混同させて遊ぶな!」
「えー? 俺は仕事の話してるだけだから。部下と恋人、それもベタ惚れの恋人が同一なのは堂上の都合でしょー」
「手塚を巻き込むなっ」
“ベタ惚れ”はいいんですか、と口に出しては言わないが、気付いたらしく顔を上げた手塚が、さっとまた下を向く。
「手塚にも情報開示すべきでしょ、お前の恋人と組んでるんだから。そもそも手塚だけ知らないって、どうかと思うし」
「手塚もわざわざ教えられるんじゃなく、気付け!」
「だから堂上、それ八つ当たりだって」
「俺、あの王子話は」
「王子言うな!」
「すいません。笠原は高校時代も笠原だったんだな、ってぐらいにしか思ってませんでした。誰が王子様とか、全然」
「だよね、そこ気にするのって、当事者だけだよね」
「…ですね」
いい加減その話題から離れろ!とキレる堂上に、照れなくていいじゃない、と小牧の上戸に更なる拍車がかかった。

 情報の共有は仲間内、それも戦闘という現場に臨む仲間における必須だ。つまり「堂上は、長く待って得た恋人に振り回されている可能性が大である」件の動議は、この堅物が相当なロマンチストであることについての共通認識を(本人は認めようとしないが)着地点とした。

「もうお前ら部屋に戻れ…」
「ギブ? 早いね、はんちょ」
「勘弁しろ、小牧」
「はいはい。手塚、今夜はお開きになっちゃったけど。続きは、また今度ね」
「…この話は俺のいないところで済ませろ」
「了解」

ふたり連れだって部屋を出、小牧がドアを後ろ手に閉める。
「気付かれてないつもりだろうねえ」
「何度見ても…俺は慣れそうにないです」
色んな意味でダメージが大きい。手塚の酔いはすっかり醒めている。
「あんな甘い顔してるなんて、自覚ないよね」
大騒ぎの中、堂上の携帯がメールの着信を知らせた。片手で操作し一瞥したその瞬間の、顔。
「キツかった時期もあるから。長く待った甲斐があって良かったな、って思うよ」
「…はい」
「喜怒哀楽がはっきりしてる、昔の堂上。戻ってきて、嬉しいのもホント。ま、それだけじゃ実際済まないんだけどね。見てる分には面白いから、楽しませてもらおう」
「…そこまで達観できそうにありません…」
手塚もゆっくり頑張ればいいよ、と背中を叩かれた。が、何に頑張れというのか、考えるだに途方に暮れてしまう手塚だった。

Fin

********************



小牧さんと堂上さんのこの何でも言い合える関係性、とても素敵です。
読んでいて「ああ、この二人の信頼関係ってやっぱイイ!部屋飲み万歳!」と何度も感じました。

そして私、堂上教官が郁ちゃんの存在によって「彼の本来の性質」が喚起されるのが原作でも大好きな設定なのです。
実は似た者カップルていうwラブ!
部屋飲みの中でこのセンシティブな部分を親友の二人が語るってイイですよねえぇv
『身体が最も欲してる動きを取ることが』とか超ニヤニヤ致しましたーvv←違う方向に穿ち過ぎ

手塚のピュアな部分もとっても好きです。「そうですか…堂上二正が…」w

kurageさん、素敵な作品をありがとうございました!
感想は私宛にに頂けましたらkurage様にお伝えさせて頂きますv
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Posted on 2012/04/13 Fri. 21:07 [edit]

category: 素敵頂き物♪

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