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『 イルカの恋 』 side_D(その1) 

こんばんは。
本日は頂き物SSの更新です。明智さんから10万HITのお祝いにと頂戴しましたv
当ブログのweb漫画「イルカの恋」のスピンオフとの事で!とても光栄です><//

あの夜堂上さんは何をしていたのか。そうだったのー!!と私が(←ちょ)納得しちゃうお話です。
教官視点のお話が好きな方には堪らないかと!
私の以下2記事をお読みいただいた後にどうぞv
イルカの恋1
イルカの恋2

しかも更に、続きのお話(堂郁☆)も頂いていますので、明日にでもそちらも掲載させて頂きますね♪
以下畳みます。


『 イルカの恋 』 勝手にside_D(その1)

[中間管理職は何をしていたか]

どう考えても業務外の使いっ走りを玄田に押し付けられたのは、
残業を終え行動予定表に帰寮の文字を記入している最中だった。

「まだ帰ってなかったか堂上、イイトコに居た!」

事務室のドアを開けてすぐ横のボードの前に立つ堂上を見つけた玄田がニヤリと笑った。
この笑顔を前にして居合わせたのがイイトコだった試しは一度もない。少なくとも俺にとっては。
そう思いながら深い溜息を落とす。

「もういい時間ですからね。これから戻る所で……」

「駅向こうの古書店からさっき連絡が入ってな」

適当にあしらうつもりで寮の字の続きを書こうとしていた手が『古書店』という言葉に反応して止まり、
マーカーを置いて玄田へ向き直る。

「依頼した書籍の件ですか」

問うた堂上に玄田は一つ頷いて見せた。

先日、武蔵野第一図書館の蔵書において切り取り事案が発生した。
「予約受け取りで借りた雑誌のページが足りない」と利用者から連絡が入り発覚したのだ。
毎回返却された時に職員が状態の確認はしているが、一見して解る切抜きなどと違い、ページをのどに沿って
綺麗に切り取られてしまうと見逃してしまう事もある。しかし貸し出し履歴を遡って確認しても、自分の時に
異常はなかったと言われてしまえばそれ以上の追求できないし、連絡してきた本人の自作自演の可能性もある。

これ自体は残念ながら頻発する事案だ。

だが今回は事後の対応がやや面倒な部類だった。
通常切り取られた書籍は出版元に問合せてバックナンバーを入手するのだが、
今回被害にあった本は元々の流通数が極端に少ない雑誌である上、出版元は昨年末に倒産しており
バックナンバーの入手が望めないものだった。
だがそういったコアな雑誌は単価も高いがマニアもそれなりにいるので、
廃刊前の最終号だった被害雑誌の予約はいまだにかなりの件数に登っていた。

複本を一定数所蔵はしていても、一冊失うとそれだけ利用者への提供が遅れる。
その上、貸し出し用の雑誌はフィルムルックスで補強しているとは言え、回転が速ければそれだけ
書籍自体の劣化も加速する。つまりは苦情件数の増加とイコールで結べる頭痛の種なのだ。
そういったものに関しては次善の策として、古書店に在庫確認と新規売却があった場合の確保を依頼し補完する。
駅向こうの古書店は依頼を掛けた内の一店舗である事から、玄田の言わんとする内容を推し量った。

「その辺の雑誌を数年分纏めて売りに来たのが居たらしくてな。」

本が高値で取引される現在、事情で纏めて本を処分するは間々ある事だが、
こちらの目当ての雑誌がここまで短期間で入手できるのは稀である。
――若干タイミングが良過ぎる。
警戒するに越したことはないかと逡巡した堂上の眉間を見て

「安心しろ!買い取り時に確認した身元は確かだそうだ。」

と玄田が豪快に笑った。

「なんでも子どもができた三十代の男らしくてな。部屋が狭くなるから処分してミルク代の足しにでもしろと
 嫁に言われたって泣く泣く置いてったそうだ。まぁウチにとっちゃラッキーだったけどな。」

なるほど。
隊内の既婚者からも趣味で収集していた物を結婚や奥さんの妊娠を機に処分させられたという愚痴を聞いた事が
一度ならずある。そんな他人の事情をラッキーと笑い飛ばす玄田には、複雑に思う所も有る売却者の同年代として
同意しかねるものの、本が入手できるのは確かに僥倖だった。

「そこで、だ。堂上にちと頼みがあるんだが……」

「そういうことならすぐ向います」

キッパリと返答するが早いか、堂上は頭の中で采配と段取りを組み立てる。

古書店への引き取りは良化の襲撃を受ける可能性もある事から図書特殊部隊が向う。
繁華街から少し入った所にある店からの回収となると、人通りが多く時間帯で交通規制が布かれる昼間よりも
夜間の方が色々と都合がいい。先方からの指定の場合もある。
それに今回は検閲対象として警戒度はそう高くないし基地からも遠くない。
まぁ車の移動時に酔客に注意する位か――酔客といえば笠原は業務部の連中と食事に行っているんだったか。
それならば招集は小牧だけ……いや、念の為に手塚も同行させて車内に待機させるとしたところか。

「では笠原は基地外に出てますので残り二人に招集をかけて堂上班で回収を……」

「ん?ああ、お前一人で充分だ」

「……は?」

「だから、堂上一人で事足りるって言ったんだ」

聞き返した堂上を見下ろしながら玄田は繰り返し、またニヤリと笑った。
そういえば最初に目が合った時もこの笑顔だった――と、今更ながら思い出す。


この笑顔を前にして居合わせたのがイイトコだった試しは一度もない。少なくとも俺にとっては。
嫌な予感がする。物凄く、物凄ーーく嫌な予感がする。
だが確認しないわけにはいかないだろう。努めて冷静に、なるべくゆっくりと口を開く。

「……雑誌の回収に関するお話ですよね?」

「あ?何の話だ?」

『このおっさんはッ!!』と流石に上官本人を前に言うわけにも行かず歯噛みして耐える。
しかし、すっ呆けた顔で小指を左耳に突っ込んでわざとらしく耳をほじる玄田に頬が引き攣るのを止められない。

「駅向こうの古書店から連絡が有ったんですよね?」

「うむ。確かに有ったな。」

「依頼書籍が入手できたという話をしていましたよね」

「ああ、それも言ったな」

「その話の流れでなぜ、回収の件じゃないんですかねっ!」

古書店からの書籍回収は図書特殊部隊が行う。
それは良化隊の襲撃だけではなく、あらゆる不測の事態に対応する為であり、どんな簡単に見える作戦であっても
最低二人以上で遂行する。つまり「一人で充分」という時点で話は回収作戦についてではありえない。

どうしても抑え切れずに語尾で声を荒げた堂上に、玄田は涼しい顔をして耳から目の前に小指を持っていき、
取れても居ないミミクソを吹き飛ばしてみせた。

「そりゃお前ぇ、それなら頼みじゃなくて命令だろうが」

――堂上の中でぶちッという音が聞こえた気がした。

「お断りしますッ!」

堂上は怒りに任せてホワイトボードに向き直り今度こそ『帰寮』と書き殴る。
その様子を見て玄田は大げさに身振りを付けて

「おい堂上、さっきすぐ行くって言ったじゃねーか」

と窘める―― 心底愉快そうに笑いながら。

「誰だってあの状況なら回収だと思うでしょうがッ!」

「俺は回収だなんて一言もいってねーぞ?」

そういわれて一瞬ぐっ、と言葉に詰まる。
確かに玄田はそうとは一言も言わなかった。もう何度も引っかかってきたパターンだと警鐘も鳴った。
これ以上言い募っても無駄なのはわかっている。しかし止められない。

「依頼した書籍の件だとは言いました!」

「おう!俺が頼んどいたやつだ!」

―――― やられた。
ガクリと肩を落とす。
自分のミスで言質を取られた。そんな物を取られなくてもどうせこの人の言い出した事はやる羽目になるのだが、
そこにうっかり言質が加わるとやらなければ長い事それをつつかれる羽目になる。
そんな思いをする位ならとっとと用件を聞いて終わらせてしまった方が、まだ精神衛生上マシってものだ。

「……それで、なにをすればいいんですか」

またも引っかかってしまった自分に膝詰めで説教をしたい気分で一杯になりながら、
堂上は記入したばかりの『帰寮』の文字を溜息と共に消した。

「流石に班長ともなりゃ話が早いな!もう少しごねるかと思ったぞ!」

「ごねて欲しかったんですかッ!……ったく、隊長はもう少し話を簡潔にお願いします。」

せめてもの厭味も、人の話を最後までちゃんと聞かねぇからだと笑われた。
まったくだ。こんな初歩的な事を突っ込まれるなんてどうかしている。
何を急いていたんだ俺は!と苦った脳裏を掠めるように、現在基地外に居るはずの部下の顔が浮かぶ。

――違う、そうじゃない!

手早く仕事を切り上げておこうとか、そんな事を考えていたなんて事は断じてない!
ただ俺は、普段自分が部下に注意しているような事を、自分が言われるような間抜けな所を部下には見せられないと
そう思ったから顔が浮かんだだけだ。他意はない!

「……堂上お前、笠原が居ないからってお前が百面相しなくていいぞ?」

ふと気づけば玄田どころか、手の空いた夜勤の隊員までがにやにやと顔を覗き込んでいて、
堂上は痛恨の表情をする羽目になった。

――結局行く所が駅向こうの古書店であることは変わらなかった。
ただ、古書店に回収にいくのは雑誌ではなく、玄田が個人的に購入したという取り置きの本と、
懇意にしている店主が分けてくれるという、田舎から送られてきた特産品だかなんだか。
たぶん晩酌のあてになるような物の類だろう。

「別に俺ンとこに届けてくれんのは明日でいいからな。戻ってくるころにゃ良い時間になってんだろ」

とご機嫌な玄田に「お気遣いありがとうございますッ!」と噛み付くように言ってから
事務室のドアを出て乱暴に閉めると、中からはじけた笑い声が漏れてきて堂上は思わず舌を打ち、
踵を鳴らしながらその場を後にしたのだった。

だが、その爆笑の理由が堂上の言動に対してではなく、先刻のやり取りを聞いていた夜勤の隊員が、
空欄にしたまま退室してしまった堂上の行動予定表へ記入した
【玄田隊長のお遣い】の一言だったと本人が知るのは――まだ随分と後の事である。





まず言いたいのは、明智さんの文章力とリアリティ!
図書隊の業務をご覧になってきたかのようなリアルさがありますよね。
読んでいて引き込まれてしまいます。

そして私は「古書店」とは漫画に描いていないにも関わらず、行間を読み取って下さり
(私も特殊な書店にお使いを頼まれたイメージで描いていたので驚きました!)
堂上さんが何故あの時間にお使いを頼まれたのかをリアルに描いてくださって…。
私の漫画にぐぐっと説得力を持たせて頂いてしまいました!嬉しすぎます///

明日は続編のside_D(その2)を公開させていただきますね。
是非併せてお楽しみくださいませv

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Posted on 2012/03/26 Mon. 19:44 [edit]

category: 素敵頂き物♪

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